甲子園春夏連覇よりも強烈な記憶 大阪桐蔭“地獄”の夏練習
- ja0214jp
- 7月26日
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■年2回の強化練習 夏は厚着で走り込み
学生たちは夏休みに入りましたね。高校野球は夏の甲子園出場に向け、全国各地で熱戦が繰り広げられています。今回のコラムでは、野球関係者に質問されることも多い「大阪桐蔭高校の夏季練習」についてお届けします。
私が大阪桐蔭高校を卒業したのは2013年なので、今は野球部の練習が変化しているかもしれません。10年以上前とは言え、夏が来ると1年で一番きつかった練習を思い出します。
大阪桐蔭では夏休みと冬休みの年2回、強化練習期間が設けられています。練習は量も質も普段以上になる“地獄の期間”です。特に、夏は暑さとの戦いもあります。
他の高校と違う特徴として、大阪桐蔭の野球部は夏休みが長いです。他の生徒より早く夏休みを迎え、「追い込み」と呼ぶ強化練習に入ります。期間は5日から1週間を1クールとして、3~4クールありました。
この間、まずは暑さに慣れるところからスタートします。ユニホームの上にグラウンドコートを着て、マスクを着用して練習します。全体練習は朝から夕方まで続きます。練習メニュー自体は実戦を想定したノック、打撃や走塁など大きく変わりません。しかし、ウォーミングアップや全体練習後に走り込みが加わるなど、ランニングの強度が上がります。厚着をして練習しているので負荷も大きくなります。

■対策の成果 甲子園でも暑さ気にならず
追い込みを経験しているため、夏の大会でも暑さが全く苦になりませんでした。大阪大会でも甲子園でも、頭がボーっとしたり、足を吊ったりすることはなかったです。強化練習に参加するのは2、3年生に限られますが、離脱する選手はいなかったですね。
入学してから3か月ほどしか経っていない1年生は、夏までは環境に慣れる時期と位置付けられています。強化練習中は2、3年生より早めに練習を終え、先輩たちが寮に帰ってくる前に食事も済ませます。追い込みの最終クールだけ走り込みに加わるなど、段階を踏んでいきます。
甲子園切符をかけた大阪大会が近づくと、練習の目的が「調整」に変わります。全体練習の主なメニューはノック、シートバッティング、フリーバッティング、5カ所バント、守備課題。ベンチ入りメンバーは昼過ぎに練習を終えます。疲労を残さず、大会に向けてコンディションを整えます。
夏の追い込み期間が終わると、引退が見えてきたという感覚になります。それくらい、やり切った気持ちが大きいです。私は高校3年生の夏に甲子園で優勝しましたが、その時よりも追い込みを乗り切った瞬間の方が達成感は大きいかもしれません。今でも大阪桐蔭時代の思い出を聞かれると、甲子園の春夏連覇よりも先に、追い込みのきつさがよみがえります。