強豪校のサインは複雑? 大阪桐蔭と亜細亜大で学んだ「本質」
- ja0214jp
- 51 分前
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■シンプルな大阪桐蔭のサイン 違いは意図の“理解度”
大阪桐蔭高校と亜細亜大学の野球部OBだったとお話しすると、練習内容や監督の指導方針など様々な質問を受けます。その中で、「サイン」について聞かれることがあります。
高校や大学では大半のチームが、盗塁やバントなどのサインが設けられています。そのサインが、強豪校は数が多く、複雑という印象を持っている方が多いようです。
他のチームの事情を詳しく聞いたことがないので比較は難しいですが、大阪桐蔭のサインはシンプルでした。サインの種類も監督が触る体の場所も一般的だと思います。他のチームとの違いを挙げるとすれば、監督が出すサインの意図や狙いを選手がしっかりと理解した上でプレーしているところだと思います。
大阪桐蔭は普段の練習が非常に実践的です。カウントや走者、点差や投手のタイプなど、試合を想定して打撃や守備の練習をしています。平日も紅白戦を頻繁に実施していました。得点を取る確率、失点を防ぐ確率を最も高くする戦略や戦術を一人一人が常に考えていました。

■サインが全てではない 状況に応じて選手が判断
そうした意識がチーム全体に浸透しているため、公式戦では自分に何が求められているのか予測できます。監督からサインを出される前から、すでに準備やイメージができた状態で打席に入っているわけです。
野球は相手との勝負なので、投球に力があったり、ファインプレーをされたりして、サイン通りのプレーができないこともあります。それでも、大きな失敗が少ないからこそ、大阪桐蔭は安定した成績を残せているのだと思います。
サイン通りに動くだけではなく、状況に応じて選手自身が判断するケースもありました。例えば、バントのサインを出された際、相手守備がシフトを敷いて猛チャージをかけてきた時は、バスターに切り替えます。それは、チームの決まり事として認められていました。
サインは試合に勝つための手段であって、目的ではありません。攻撃であれば、より得点のチャンスが広がる方法を選びます。ただ、バントが苦手な選手は、内野手が全然前に出てきていないにもかかわらず、「相手がチャージする素振りを見せたので、バスターに切り替えました」と監督に説明しているところを見たこともあります(笑)。
■亜細亜大学も特別なサインなし 練習で意図を共有
亜細亜大学もサイン自体に特別なものはありませんでした。大阪桐蔭以上に、全体練習は試合に近づけたメニューを組んでいました。伝統的なメニュー「2カ所バッティング」では、打撃投手が投じる1球1球に全ポジションの選手が集中し、走者も次の塁を狙う動きを見せます。
ミスできない緊張感は、試合以上です。サインの意図、打席の自分に求められている役割を考えながらプレーしていました。同じ盗塁のサインでも、カウントによって「盗塁をアシストするためにスイングするのか」、「ボール球は見逃すのか」が変わってきます。
大学のリーグ戦は2日、3日続けて同じ相手と対戦します。でも、亜細亜大学ではサインを変えませんでした。全国大会で1試合だけ、普段と違うサインで戦った記憶があるくらいです。相手にバレているかもしれないと感じる時はありましたが、気にせずプレーしていましたね。大阪桐蔭でも試合によってサインが変わることはなかったです。
周りの方からは、「強豪校は、サインを見落としてしまったら厳しい罰則があるんですよね?」と質問されます。大阪桐蔭は特に何もなく、監督やコーチから「全員でサインを確認しておくように」と指摘されるだけでした。亜細亜大学では、選手が五厘刈りにしていました。

■選手の考える力向上 「ノーサイン」は有効?
最近は学生野球で「ノーサイン」のチームを時々、見聞きします。選手の自主性や考える力を養う目的で取り入れているようですが、個人的にはメリットを感じません。
サインには根拠があります。監督が出すサインの意味や狙いを考える習慣が身に付いている選手の方が、思考力が磨かれると思っています。サインにしっかりとした意図や理由があれば、ノーサインよりも試合に勝つ確率も高いと考えています。



