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4番を意識しすぎて迷走 亜細亜大の夏練習と教訓

  • ja0214jp
  • 8月7日
  • 読了時間: 3分

■高校と異なる大学の夏季練習 「個のスキル向上」がテーマ

前回のコラムでは「大阪桐蔭時代の夏休みの練習」をテーマにしました。今回は亜細亜大学野球部の夏休み期間についてお伝えします。

 

高校野球は春と夏の甲子園に照準を合わせるのに対し、大学は春と秋のリーグ戦で優勝を目指します。高校野球において夏休みは大会の真っ最中であり、大会直前は大切な練習や調整期間になります。

 

一方、大学はリーグ戦の合間になるので、高校とは位置付けが変わります。亜細亜大学では、個のスキルを高める期間と捉えていました。普段は選手の在籍する学部によって練習時間は異なりますが、夏休みは授業がないため全員が同じ時間に集まります。

 

夏休みの全体練習は午前6~7時に始まり、午後3~4時まででした。その後、夜7時頃まで自主練習となります。リーグ戦が近づくとノックで守備の連係を高めたり、投手のタイプ別に盗塁したりする実戦的なメニューになります。一方、夏休みはスイングする力をつけたり、走るスピードを高めたり、プレーのベースとなる部分を強化しました。

亜細亜大学時代の水本
亜細亜大学でプレーしていた頃の水本

■大学では4番で起用 長打力を求めて見失った長所

リーグ戦が終わると、ベンチ入りしていたかどうかも関係なくなるため、全員に同じ練習メニューが課されます。ただ、同じティー打撃やフリー打撃であっても、個々にテーマを持って取り組むことができます。

 

私の場合は、春のリーグ戦で見つかった課題を改善する時間にしていました。1、2年生の夏休み期間であれば、「長打力」をテーマに掲げました。大阪桐蔭ではバットの芯に当てるコンタクト率の高さを武器にしていたので、打順は主に1~3番を任されていました。

 

ところが、亜細亜大学に入学してからは4番や5番で起用されるケースが増えました。そこで、打球の飛距離を伸ばそうとスイングを大きくしたり、長いバットを試したりしました。

 

課題と向き合って試行錯誤すること自体は成長につながります。ただ、今振り返ると、違う方法や考え方があったと感じています。当時、私は今までのスタイルを捨てて、とにかくスイングを大きく豪快にする練習を繰り返しました。その結果、自分の打撃を見失い、スランプに陥りました。

 

■長打力アップの方法は1つではない 失敗から学んだ教訓

社会人野球を経験し、現役引退後は野球指導の道を歩んだ今、フルモデルチェンジする必要はなかったと考えています。自分の長所を生かしながら、4番の役割を果たす方法もありました。打撃フォームは変えずにウエイトトレーニングでフィジカル強化するやり方も1つですし、打球方向を変える選択肢もあります。もし、当時の自分と同じ悩みに直面している選手がいたら、打率か長打かの一方に絞るのではなく、打率を残しながら長打力をアップさせる考え方を伝えたいですね。

 

前回のコラムで触れたように、大阪桐蔭では夏休み期間に暑さに慣れる練習もします。夏の大会に向けた対策の一環です。それに対し、亜細亜大学では暑さをしのぐ取り組みを積極的に進めていました。

 

例えば、夏場の練習ではソフトボール用のユニフォームが支給されました。ソフトボール用はハーフパンツなので、風通しが良くて野球用よりもかなり涼しいです。また、帽子もマラソンランナーがかぶるネットカバー付きのものでした。首の後ろが日に当たらないので、暑さをしのげます。チームを率いる生田勉監督は考え方が柔軟で、選手のパフォーマンスや練習環境を向上させるために、新しいことを取り入れようとしていましたね。

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