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- 野球と福祉をつなぐ新たな挑戦 就労支援事業所「えんどらん」プレーボール
石川県に開所した就労継続支援B型事業所「えんどらん」 ■地元・石川県に開所 就労継続支援B型事業所「えんどらん」 新聞の報道などでご存じの方がいらっしゃるかもしれませんが、2月から新たな事業をスタートしました。私の地元・石川県の小松市に就労継続支援B型事業所「えんどらん」を開設しました。Ring Matchとして初めての福祉事業です。 就労継続支援B型は、一般企業で雇用契約を結んで働くことが難しい人を対象にした福祉サービスです。事業所では、障害や難病のある人たちが就労に必要な知識や能力を向上させる訓練を受けられます。 私は元々、福祉に特別な関心があったわけではありません。Ring Matchでは野球経験者に特化した人材紹介、野球塾の運営、バットの開発・販売と、野球に深く関わる事業を展開してきました。 「えんどらん」を開設したきっかけは、大阪市にある就労継続支援事業所を知ったことでした。そこで働いている野球経験のある職員の方から話を伺うと、利用者の方と野球が共通の話題になって、交流が深まっているとのことでした。 また、その事業所は軟式野球チームを持っていて、全国大会には事業所の利用者の皆さんが応援に行っているそうです。選手のユニホーム修繕を利用者の方に依頼するなど、野球と関連した仕事も生み出していました。 野球塾から3キロの距離にある「えんどらん」 ■事業所は野球塾から3キロ 野球関連の仕事を創出 私は福祉と野球の相性の良さや野球が福祉にも貢献できる道を知り、1年前から事業所の設立を目指して本格的に動き出しました。事業所の場所探し、スタッフの採用、自治体への許可申請など、やるべきことは多岐にわたりました。未経験の分野で苦労はありましたが、周りの方々の支援や応援を受けて、「えんどらん」のスタートを切れました。 事業所の場所は、今年1月にオープンした野球塾から3キロほどの距離にあります。野球塾の近くに構えることで、一般的な仕分けや梱包作業のほかに、練習場の清掃やネットの補修、練習で使うボールの手入れなど、野球塾に関連した仕事を事業所の利用者の方に依頼しやすくなります。 それから、利用者の皆さんに野球塾の子どもたちを身近に感じてもらいたい意図もあります。成果が目に見えにくい作業よりも、自分たちの仕事が選手たちの成長を支えていると実感できた方が、働くモチベーションや責任感につながると考えています。選手たちにも、練習をサポートしてくれる人たちに感謝する気持ちが自然と芽生えると期待しています。 施設の利用者さんをスタッフが前に進める意味を込めた「えんどらん」 ■スタッフは打者、利用者さんが走者 えんどらんで前進サポート 野球の戦術にちなんで名付けた「えんどらん」には、打者となる私たちスタッフがサポートして、走者である利用者の方々を前進させる意味を込めています。両者が信頼関係を築いて、ともに成長していきたいと思っています。 開所から1カ月半ほどが経ち、事業に関わる近隣への挨拶回りや行政による見学など必要な準備を終えました。地域ごとにルールがあるのかもしれませんが、事業所と利用者さんは直接契約を結べません。相談員と呼ばれる自治体の担当者が事業所を見学して問題がないと判断してから、利用者さんを事業所に紹介する流れです。「えんどらん」は利用者さんを受け入れて問題ないと行政に認められ、今は利用を希望する方たちが見学に来ています。 野球と福祉は一見、つながりがありません。しかし、2つを結び付けることで新たな価値や役割が生まれ、それぞれの可能性が広がると信じています。
- 違いは“痛み” 軟式と硬式どちらを選ぶ? それぞれのメリットとデメリット
中学校で出張指導する水本 ■レベルの高い環境で成長 中学生から硬式のメリット 卒業の時期を迎えました。中学でも野球を続けようと考えている小学生6年生の中には、軟式と硬式どちらを選べば良いのか迷う人もいると思います。私たちが運営する野球塾に通っている選手や保護者からも相談を受けます。 私は現役時代、中学生から硬式をスタートしました。通っていた中学校に軟式野球部はありましたが、それほど熱量は高くありませんでした。私は中学卒業後、地元の石川県を離れて県外の強豪校で甲子園に出場する目標があったので、よりレベルの高い環境を求めて硬式野球のクラブチームに入りました。 中学生から硬式を始めるメリットは、いくつかあります。まずは、上手い選手と出会える確率の高さです。軟式と硬式、どちらに上手い選手が集まっているか比較すると、私は硬式だと感じています。向上心やモチベーションを高く持ち、野球の技術を高めていくにはレベルの高い環境に身を置くことが重要だと考えています。 もちろん、周りに流されず、自分を律して目標に向かっていける中学生もいます。ただ、自分より上手い選手を見て技術や練習法を吸収したり、競争心を持って練習に取り組んだりできる環境の方が、レベルアップしやすいと思います。 石川県小松市に開校した野球塾「Amazing」石川校 ■人脈や視野の広さ 野球以外の面にも意義 それから、硬式はクラブチームの数が少ないところもメリットと捉えています。私が中学生の頃、石川県内には硬式チームの数が限られていたので、愛知や滋賀、京都や大阪など練習試合で各地に遠征しました。お弁当や補食の準備、配車といった保護者の負担は大きくなりますが、県外のチームと対戦したことで交友関係が広がりました。人脈や視野が広くなるのは、野球以外の面でも意義があります。 他にも、硬式を勧める理由はボールへの慣れです。同じ野球とはいえ、軟式ボールと硬式ボールには大きな違いがあります。高校や大学、社会人やプロは硬式ボールなので、上のステージを見据える中学生は早い段階で硬式ボールに触れていた方がアドバンテージになります。 打撃面で硬式ボールと軟式ボールの大きな差は「痛さ」です。軟式と違って、硬式はバットの芯を外れると、手がしびれます。それから、体に当たった時の痛みは軟式と比較になりません。私は硬式を始めてすぐの時期に、フリー打撃で社会人野球経験者の投球が体に直撃しました。その痛みがトラウマになって、しばらく恐怖心が消えませんでした。 ■けがのリスクや恐怖心 軟式が合っているタイプも 小学校5、6年生で野球を始めた場合は、中学で軟式を選ぶ考え方も1つです。まだ経験が浅い段階で硬式の痛さや怖さを体験すると、野球自体が嫌になってしまう可能性があるためです。また、成長期が遅く、中学校入学時点で体が大きくない選手も軟式が良いかもしれません。軟式よりも重い硬式ボールは肩や肘への負担が大きくなるので、けがのリスクは高くなります。 軟式にも強豪チームがあります。私の地元では、当時から星稜中学が強かったです。そうした強いチームに入れば、硬式のクラブチームに引けを取らないくらいレベルの高い環境でプレーできると思います。チーム選びの正解は1つではありません。体格や野球経験、その先の目標など、自分に合ったチームを探してください。
- 3年間CかD…大阪桐蔭のクラス分け 社会人で後悔した「勉強の習慣」
■学習塾に通ったものの…勉強への興味や意欲が湧かず すでに進学先が決まっている人もいますが、中学生や高校生は受験勉強のラストスパートをかける時期です。今回のコラムは、現在の私の反省にもなっている「勉強」をテーマにお届けします。 私は小学校、中学校ともに地元の公立だったので、高校受験が初めての受験でした。大阪桐蔭を志望校にしたのは、中学3年生の夏頃です。それまでは、PL学園をはじめ、甲子園に出場できる石川県外の強豪校に入学したいという漠然としたビジョンしか描いていませんでした。 野球を武器に入学すると言っても、学力の基準を設ける高校は多いです。どんなに野球で突出した能力や実績があっても、勉強ができなければ受験で合格できないと周りからも聞いていたため、中学生の時は学習塾に通っていました。それから、高校側から声がかかっても、最後に推薦を出すのは中学校です。成績が原因で中学校から推薦を受けられなかった先輩も見てきたので、しっかりと勉強しないといけない意識を持っていました。 ただ、私の成績は良くなかったです。塾に通っていたものの、行くことが目的になってしまい、勉強量が足りていませんでした。野球と違って興味や向上心を欠いてモチベーションが上がらず、楽な道を選んでしまいました。知識を増やすために塾へ通っているのに、少し考えて分からないと隣の席の友人に回答を見せてもらったり、宿題も友人が解いたものを写したりすることが多々ありました。結果的に、要領の良さを学ぶ形になってしまいました。 母校の大阪桐蔭高校 ■“文武分業”の大阪桐蔭 3年間「勉強できないグループ」に在籍 定期テスト前は机に向かう時間をつくって、自分なりに勉強しました。しかし、長い時間座っているのが苦手でした。教科書やノートを読んでいても、文字を目で追っているだけで、勉強と関係ないことを考えていました。勉強の仕方が分かっていない典型だと思います。テストで良い点数を取りたかったという後悔はありませんが、勉強の習慣や仕方を身に付けるべきだったと反省しています。 私が高校を卒業してから10年以上経っているので、今の合格基準は分かりませんが、当時の大阪桐蔭は野球推薦であれば、基本的に全員が入学できました。実は、大阪桐蔭は進学校です。正確に表現すると、勉強を頑張る生徒と運動を頑張る生徒が役割分担する“文武分業”と言えます。 高校のカリキュラムはⅠ~Ⅲ類に分かれていて、Ⅰ類とⅡ類が東大や京大、国公立大学の医学部をはじめとする難関大学への進学を目指します。Ⅲ類は運動で全国トップレベルを狙うコースで、野球部やラグビー部などの生徒が所属します。 Ⅲ類の中でもA~Dまで学力に応じてクラス分けされます。野球部はAに入らず、B~Dのいずれかです。野球部の同級生では、藤浪晋太郎や平尾奎太ら4~5人がBでした。定期テストの結果などでクラスは定期的に入れ替わりましたが、私は3年間CかDでした。CとDに差はないと言われていたので、ずっと「勉強ができないグループ」にいたことになります。 野球漬けの生活を送った大阪桐蔭時代 ■社会人になって痛感 勉強する習慣の大切さ 大阪桐蔭の野球部は定期テスト前でも部活があります。それでも、普段より少しだけ練習が早く終わって、寮で食事を終えてから食堂に集まって勉強する時間が設けられました。学年ごとに固まってテスト勉強する時間でしたが、私は優先的に覚える内容を平尾に教えてもらいました。平尾は遠征で移動中のバスの中でも教科書を読むなど、隙間時間も活用している姿が記憶に残っています。藤浪も勉強ができるタイプでしたが、移動中は寝て体を休めて勉強する時は集中するというようにメリハリをつけていた印象です。 小・中学校以上に野球が生活の中心となった高校で勉強の習慣は身に付かず、成績は伸びませんでした。時には課題を提出して、不甲斐ない定期テストの結果を穴埋めすることもありました。 大阪桐蔭卒業後に進学した亜細亜大学には、野球推薦で入学しています。入試は筆記がなく、作文と面接のみでした。チームメートにも恵まれて野球で評価してもらい、高校も大学も入学できたことはありがたい限りでした。ただ、そこに甘えず、勉強の習慣は身に付けるべきでしたね。 経営者になった今、少しずつですが机に向かう時間をつくっています。自宅で何気なく過ごしている時もYouTubeで経営者の対談を流すなど、インプットの環境づくりを意識しています。2月23日に31歳になりましたが、学びに年齢制限はないと思っています。
- 地元・石川県に新たな野球塾 入会率の高さは「練習環境」と「指導力」
■石川県小松市に野球塾 開校前から110人の体験予約 1月5日に野球塾の新たな校舎を開校しました。場所は石川県小松市です。私が生まれ育った石川県に、念願だった野球塾を構えることができました。 名古屋校や岐阜校と同じように、小・中学生を対象としています。2つの校舎の口コミや、過去に石川県で野球イベントを開催した実績もあって、石川校には、オープン前から110人の体験予約が入りました。スタートして1カ月ほど経ちましたが、スクール生は75人まで増えています。 体験した子どもたちの入会率が高いのは、主に2つの理由があると考えています。1つ目は「練習環境」です。レッスンは少人数制のグループで、1コマ70分です。時間内にマシンやティーでボールを打つ量は、他の野球塾を大きく上回ります。例えばティー打撃では、指導者がボールをティー台にセットするので、スクール生は練習だけに集中できます。 バットを振っていない時は打力アップにつながるトレーニングをするため、休む時間はありません。せっかくレッスンに来た選手たちには、70分間をフル活用して体を動かしてもらっています。普段は所属チームで厳しい練習をしている選手たちも、レッスンが終わる時にはクタクタです。 1月に開校した石川校 ■ノウハウやドリル蓄積 クオリティの高い指導 もう1つの理由は、絶対の自信を持っている「指導力」です。私たちの野球塾では、一人ひとりの選手に合った指導や、ドリル・トレーニングの提案をしています。選手の動きからどこに課題があるのかを判断するノウハウを指導者間で共有しているため、私以外のスタッフが指導してもクオリティは変わりません。石川校のスタッフも全員がオープン前に名古屋校で研修し、子どもたちを見るポイントやドリルを学びました。 弊社では石川校のほかに、名古屋校と岐阜校の運営をしています。短期間で退会する選手は、ほとんどいません。大半が継続して2~3年通っています。昨年レッスンの枠を増やした名古屋校はすでに定員がいっぱいですし、岐阜校と石川校も受け入れられる人数がギリギリの状況です。 実は、私たちはスクール生を募集する広告をほとんど打っていません。入会の大半が口コミです。スクール生は短期間でスイングが明らかに変わり、試合で結果を出すと、「変化のワケ」を知ったチームメートが新たなスクール生となります。チーム内や近くのチームに評判が広がって、入会希望者が増えている形です。中には、体験レッスンだけでスイングが大幅に改善するケースもあります。 練習環境の良さもスクール生に人気の理由 ■移動を苦にさせない指導 片道2時間半かけるスクール生も 名古屋校には夏休みの期間、石川県から来ている選手もいました。岐阜校には、片道2時間半くらいかけて石川県から毎週通っている選手がいます。石川校は石川県在住者が中心ですが、福井県や富山県から来ている選手もいます。 私たちの野球塾は市街地から離れたところにあります。周囲の人からは「あの立地で、よく人が集まりますね?」と言われます。レッスン時間の約2倍の時間を移動にかけているスクール生は珍しくありません。 ただ、指導に価値を感じてもらえれば、場所や移動距離は大きな問題にはならないと考えています。そして、その価値に見合う指導、野球が上達する楽しさを子どもたちが実感できる指導を続けていくことが私たちの責任です。
- 開催前日に球場が停電 緊急事態の野球教室が生んだ一体感と笑顔
■昨年12月に開催 “電気ゼロ”からの野球教室 昨年12月、広島県三次市で野球教室を開催しました。スポンサー企業の方々や参加していただいたプロ野球選手や元選手の方々をはじめ、関係者の皆さまには大変お世話になりました。想定外の事態が起きる中、皆さまのご協力のおかげで子どもたちに喜んでもらえるイベントとなりました。ありがとうございます。 今回の野球教室には地元の小学生200人、現役のプロ野球選手と元プロ野球選手を合わせて8人招きました。また、スタンドを開放して、無料で観覧できるスタイルとしました。私はこれまで野球教室に度々携わってきましたが、今回ほどの大きな規模で主催するのは初めてでした。約1年かけて準備を進め、不備がないか確認を繰り返しました。 実は野球教室開催の前日、想像もしていなかった事態に直面しました。会場の野球場が停電になり、復旧のめどが立たないと球場側から連絡が入りました。電気がないままでは、野球教室を実施できません。 特に大きな問題はトイレです。電気が通っていなければトイレを流せません。スポンサーの中にイベント会社が入っていたので、急きょ仮設トイレの手配をお願いしました。仮設トイレが間に合わない可能性も考えて、携帯トイレも用意しました。 野球教室には地元の小学生200人が参加 ■参加者全員が団結 “過去最高”のクオリティ さらに、最低限の電気を使えるように大型のバッテリーを専門業者に発注しました。ただ、野球教室の運営を最優先したので、スポンサー企業の方々、選手や元選手の控室に準備していた暖房は使えませんでした。それでも、大量に購入したホッカイロを渡しながら謝罪すると、皆さんに「停電なんだから仕方ないですよ」、「体を動かせば温かくなるので気にしないでください」などと声をかけていただきました。 球場の停電は、電光掲示板を使った演出やキッチンカーの出店にも影響しました。予定通りにいかない点もあり、当日来場した方々にはご不便をおかけしましたが、野球教室自体は非常に盛り上がりました。私が今まで携わったイベントの中で、最もクオリティが高い内容となりました。これは、皆さんのご協力のおかげです。 野球教室では、子どもたちが憧れるプロの技術を選手と元選手の方々が披露しながらも、子どもの目線に合わせて丁寧に指導している姿が印象的でした。イベントの最後に設けたホームラン競争ではスタンドの観覧者もグラウンドに招いて、球場のボルテージは最高潮に達しました。 私にとっては初めての規模のイベントでプレッシャーもあり、停電のアクシデントにも見舞われましたが、参加した方々から感謝されて大きな達成感を得られました。「毎年開催してほしい」という声もいただきました。 野球教室は球場が停電する緊急事態を乗り越えて大成功 ■民間の力で地域活性化へ スポンサーに強い使命感 今回の野球教室は広島県北部に位置する三次市で開催しました。人口4万7000人ほどのまちで、他の地方と同じように若者の市外流出を課題としています。スポンサーに手を挙げていただいた企業からは野球への特別な思い入れ以上に、「民間の力で地域を活気づけたい」使命感や危機感が伝わってきました。 私が運営する会社「Ring Match」では、イベント開催を含めて野球に関連した事業を展開しています。起業した主な理由の1つには、野球を通じた地域貢献や活性化があります。同じ思いを持った人たちと今後も力を合わせていきたいと思っています。今回の縁も大切にしたいです。 球場の電気が使えないアクシデントからは、学びもありました。「子どもたちを喜ばせたい」、「地域を盛り上げたい」と共通のゴールを目指す関係者の団結力は驚くほどでしたし、想定外に対応するための引き出しも増えました。球場から停電の知らせを受けた時は開催できるのか不安でいっぱいでしたが、結果的には収穫の多いイベントとなりました。
- 人材紹介の内定者2倍 野球塾は満員 充実の2025年と2026年の戦略
■新卒採用の支援も開始 野球経験者の人材紹介事業は加速 あけましておめでとうございます。年末年始は1週間ほど休みを取って、頭、体、心をリフレッシュしました。2026年のスタートダッシュを切る準備は万全です。今年もよろしくお願いいたします。 今年最初のコラムは、2025年の振り返りと2026年の目標をお届けします。2025年は前年以上に、3つ全ての事業が加速した1年でした。一番の柱となる「野球経験者を対象にした人材紹介事業」は、求職者の登録も紹介先の企業数も増え、内定者は前年から倍増しました。戦力外通告を受けたプロ野球選手や、社会人野球を引退した選手のセカンドキャリアもサポートしました。 事業拡大の要因はいくつかあります。まず、弊社のサービスを通じて就職・転職した方や、人材を採用した企業の口コミで認知度が高まっている点です。ホームページなどからのお問い合わせや代理店からの紹介をきっかけに求職者と企業をマッチングさせるケースもありますが、実際にサービスを利用した方からの紹介や評判を聞いた方からの連絡が大幅に増えました。 それから、新卒採用の支援を始めたことも2025年の大きな収穫でした。人材事業の責任者を務める執行役員の小林が精力的に動いて、全国各地の大学と関係を築いています。 大学生は秋のリーグ戦まで野球を続けると、就職活動の時間を十分に確保できません。また、野球中心の生活の中で、どのように就職活動をすれば良いのか、どんな準備を進めれば良いのかなど、悩んでいる大学生も多いです。そこで、小林は直接的な就職支援だけではなく、2、3年生に向けても就職を含めた人生設計の相談を受けています。新卒の採用は2026年、強化していきたいポイントの1つです。 名古屋市の熱田神宮で初詣 ■野球塾は受け入れ人数拡大 1月に石川校オープン 2つ目の事業、野球塾も順調でした。名古屋校は定員いっぱいで新規受け入れを停止している状況でしたが、1レッスンあたりの人数を増やせたことで、より多くの小・中学生への指導が可能になりました。開校当初は各レッスンで最大5人だった枠は現在、8人まで拡大しています。これは、スタッフの指導レベルが上がり、選手の人数が増えても対応できるようになったためです。 私たちのレッスンでは選手たちが常にバットを振るか、トレーニングに取り組んでいます。1レッスンの枠が5人、6人だった時は、選手がバテてしまうケースがありました。8人に拡大して、ハードなメニューながらも、ギリギリやり抜ける状況になっています。スタッフが無駄な時間をつくらずに指導しているので、レッスンの人数が増えても、選手や保護者からの満足度も変わらず高いです。 2025年は岐阜校をスタートし、2026年は1月5日に石川校をオープンしました。岐阜校は右肩上がりで業績が伸びています。石川校はオープン前から100人以上の体験希望者が集まり、続々と入会者が増えています。私は起業した時、地元・石川県に野球で貢献したい思いを持っていました。野球塾の開校で、1つの形をつくれたところに喜びを感じています。 売行き好調なニュートンバット ■ニュートンバットも需要拡大 2026年は福祉の新事業 ニュートンバットの販売は前年より力を入れ、数字もついてきました。動画を使った広告が効果的でした。写真と文章よりも、動画の方がバットの特徴が伝わりやすかったようです。数字の伸び方を見ると、バットと動画の相性の良さを感じました。 ニュートンバットに似た機能を打ち出すトレーニングバットは、他のメーカーでも製造しています。ただ、実際にボールを打てるバットはほとんどありません。ニュートンバットは打撃投手のボールを打つことが可能ですし、軟式であればマシンのボールでも問題ありません。さらに、他社のバットよりも金額が安いところも支持されています。 2025年は事業のフェーズが変わり、拡大に向けて次のステージに入ったと感じる1年になりました。新しい展開が見えてきて、期待が高まっています。 2026年は新しく福祉分野の事業を始める予定です。現在、最終的な詰めの段階に入っているので、事業開始の際に詳しくお伝えします。他にも、今年は人材事業をさらに伸ばしていきます。新たにスタッフを数人増やし、成長スピードを上げていく考えです。
- 野球が上達する小・中学生の共通点 成長妨げる保護者のNG言動
■伸びる選手に不可欠 「情熱」と「向上心」 野球塾で小・中学生の指導をしていると、伸びる選手には共通点があると感じます。絶対に欠かせない要素が、「情熱」と「向上心」です。ありきたりに聞こえるかもしれませんが、「野球が好き」、「今よりも上手くなりたい」という気持ちが強い選手は自然と成長します。 最近は、指導現場で「自主性」という言葉をよく耳にします。自主性のある選手は上達し、指導者は選手の自主性を育む教え方や接し方が重要といった指摘です。私が実際に選手たちを指導して感じるのは、情熱や向上心があれば、指導者が多くの言葉をかけなくても選手は自主的に動きます。成長する選手は野球塾で「上手くなるヒントをつかみたい」、「限られた時間の中で1球でも多く打ちたい」という姿勢が表れ、自宅に帰れば自主練習しています。 私たちの野球塾は選手に宿題は課しませんが、現状の課題と改善方法は伝えます。伸びる選手は自宅で復習しています。次に会った時に動きを見れば、復習したかどうか、すぐに分かります。自主練習を継続する選手の中には数カ月、半年で驚くほど上手くなるケースも多いです。 どれだけ野球が好きか。努力を続けられる要因は、そこに尽きると思います。活字が嫌いな子どもたちも、好きなゲームを攻略する方法を知るためなら、難しい文章でも必死に読もうとしますよね。野球が上手くなりたい気持ちがあれば、自ら練習する時間をつくります。 練習は「質」も大事ですが、ある程度の「量」は不可欠です。特に、小・中学生の年代はバットを振る強さや感覚がベースとして身に付いていないと、技術の習得に時間がかかります。技術的な説明を頭で理解していても、振る力がなければ体で表現できない状態に陥ってしまいます。 ■選手の成長に重要な保護者の役割 「口の出しすぎ」に注意 選手の成長をサポートするには、保護者の役割も重要です。伸びる選手に共通点があるように、選手の意欲や上達を妨げてしまう保護者にも共通点があります。まずは、過剰に関わっているケースです。私たちの野球塾に来ても、チラチラと一緒に来ている保護者の方を見て、顔色をうかがいながら練習している選手がいます。 保護者があまりにも口を出すと、選手は怒られないようにする動きや考え方がクセになってしまいます。練習をやらされているので楽しくなさそうですし、試合でも消極的なプレーになりがちです。また、指導者と保護者の間で選手に伝える内容が大きく異なると、選手は板挟みになって戸惑います。自分のお子さんに関心を持つのは親として自然なことですが、すぐに何でも指摘せず、選手の成長を見守る意識を持つと、大人が想像する以上に子どもたちは上達するはずです。 それから、周りの選手との比較も成長を妨げる原因となります。「あの子みたいに練習しなさい」、「あの子みたいに打ってみたら」といった発言は、選手のやる気を損ないます。野球塾でも耳にする時が少なくありませんが、比べるのであれば「自分のお子さんの過去」を比較対象にしてください。「1カ月前よりスイングスピードが速くなったね」、「家に帰ってからバットを振る習慣が身に付いたね」と、変化した点を褒めてほしいです。 打撃は1日、1週間で打てるようになるほど甘くありません。試合で我が子が凡退する姿を見ると、保護者としては色々と言いたくなるかもしれません。でも、ぐっとこらえて、お子さんが今よりも野球を好きになる言葉や、上手くなりたいと前向きになる言葉をかけてください。成長の速度には個人差はあっても、誰もが必ず上達します。 石川校は2026年1月にオープン ■2026年1月に開校 地元・石川県に新たな野球塾 私が代表を務める「Ring Match」では現在、名古屋市で野球塾「Amazing」を運営しています。来年1月5日には、石川県小松市に新たな校舎も開設します。 石川県では今まで何度も野球教室を開催し、野球熱の高さを感じていました。野球教室の回数を重ねるうちに、自分が生まれ育った石川県に野球塾を常設したい思いが強くなり、今回の開校に至りました。私が塾長を務め、小・中学生を対象としています。塾生の募集を開始したので、「もっと野球が上手くなりたい」選手は、ぜひお越しください。
- 強豪校のサインは複雑? 大阪桐蔭と亜細亜大で学んだ「本質」
■シンプルな大阪桐蔭のサイン 違いは意図の“理解度” 大阪桐蔭高校と亜細亜大学の野球部OBだったとお話しすると、練習内容や監督の指導方針など様々な質問を受けます。その中で、「サイン」について聞かれることがあります。 高校や大学では大半のチームが、盗塁やバントなどのサインが設けられています。そのサインが、強豪校は数が多く、複雑という印象を持っている方が多いようです。 他のチームの事情を詳しく聞いたことがないので比較は難しいですが、大阪桐蔭のサインはシンプルでした。サインの種類も監督が触る体の場所も一般的だと思います。他のチームとの違いを挙げるとすれば、監督が出すサインの意図や狙いを選手がしっかりと理解した上でプレーしているところだと思います。 大阪桐蔭は普段の練習が非常に実践的です。カウントや走者、点差や投手のタイプなど、試合を想定して打撃や守備の練習をしています。平日も紅白戦を頻繁に実施していました。得点を取る確率、失点を防ぐ確率を最も高くする戦略や戦術を一人一人が常に考えていました。 大阪桐蔭時代の水本 ■サインが全てではない 状況に応じて選手が判断 そうした意識がチーム全体に浸透しているため、公式戦では自分に何が求められているのか予測できます。監督からサインを出される前から、すでに準備やイメージができた状態で打席に入っているわけです。 野球は相手との勝負なので、投球に力があったり、ファインプレーをされたりして、サイン通りのプレーができないこともあります。それでも、大きな失敗が少ないからこそ、大阪桐蔭は安定した成績を残せているのだと思います。 サイン通りに動くだけではなく、状況に応じて選手自身が判断するケースもありました。例えば、バントのサインを出された際、相手守備がシフトを敷いて猛チャージをかけてきた時は、バスターに切り替えます。それは、チームの決まり事として認められていました。 サインは試合に勝つための手段であって、目的ではありません。攻撃であれば、より得点のチャンスが広がる方法を選びます。ただ、バントが苦手な選手は、内野手が全然前に出てきていないにもかかわらず、「相手がチャージする素振りを見せたので、バスターに切り替えました」と監督に説明しているところを見たこともあります(笑)。 ■亜細亜大学も特別なサインなし 練習で意図を共有 亜細亜大学もサイン自体に特別なものはありませんでした。大阪桐蔭以上に、全体練習は試合に近づけたメニューを組んでいました。伝統的なメニュー「2カ所バッティング」では、打撃投手が投じる1球1球に全ポジションの選手が集中し、走者も次の塁を狙う動きを見せます。 ミスできない緊張感は、試合以上です。サインの意図、打席の自分に求められている役割を考えながらプレーしていました。同じ盗塁のサインでも、カウントによって「盗塁をアシストするためにスイングするのか」、「ボール球は見逃すのか」が変わってきます。 大学のリーグ戦は2日、3日続けて同じ相手と対戦します。でも、亜細亜大学ではサインを変えませんでした。全国大会で1試合だけ、普段と違うサインで戦った記憶があるくらいです。相手にバレているかもしれないと感じる時はありましたが、気にせずプレーしていましたね。大阪桐蔭でも試合によってサインが変わることはなかったです。 周りの方からは、「強豪校は、サインを見落としてしまったら厳しい罰則があるんですよね?」と質問されます。大阪桐蔭は特に何もなく、監督やコーチから「全員でサインを確認しておくように」と指摘されるだけでした。亜細亜大学では、選手が五厘刈りにしていました。 亜細亜大学時代の水本 ■選手の考える力向上 「ノーサイン」は有効? 最近は学生野球で「ノーサイン」のチームを時々、見聞きします。選手の自主性や考える力を養う目的で取り入れているようですが、個人的にはメリットを感じません。 サインには根拠があります。監督が出すサインの意味や狙いを考える習慣が身に付いている選手の方が、思考力が磨かれると思っています。サインにしっかりとした意図や理由があれば、ノーサインよりも試合に勝つ確率も高いと考えています。
- なぜ多い? 亜細亜大野球部が教員免許を取る意外な本音
■亜細亜大学4年時 母校・大阪桐蔭で教育実習 前回のコラムでは、私が教育実習で大阪桐蔭高校へ行った際に交流した巨人・泉口友汰選手について書きました。今回は、教育実習の続きです。 通常、大学生が教育実習に行くのは4年生の春か夏頃です。ただ、高校側の配慮で、秋のリーグ戦が終わってからの時期に調整していただきました。その時点で、私は東邦ガスへの入社が決まっていました。大学卒業後に教員を目指す人たちとは事情が違ったため、準備を含めて授業に目いっぱい時間をかけるよりも、野球部の手伝いをしてほしいと西谷先生から依頼されました。 そこで、教育実習ではクラスごとに全て異なる授業をするのではなく、プランをいくつか立て、それをベースにアレンジしていくやり方で授業を進めました。授業の準備時間を減らす分、放課後は野球部の練習をサポートしました。 担当したのは社会科の授業です。教壇に立って感じたのは、生徒が授業に集中しているのか、内容を理解しているのか、表情や動きを見ると意外に分かるということです。自分が高校生の頃は上手く取り繕っているつもりでしたが、先生たちには見抜かれていたんでしょうね。 教育実習で訪れた母校・大阪桐蔭高校 ■放課後は野球部のサポート 藤原恭大選手のスピードに驚き 西谷先生の接し方も高校生の頃とは全く違いました。私を大人として扱っている感じを受けました。野球部の練習に参加していると、質問や相談を受けました。当時、私が所属していた亜細亜大学の野球部は強かったこともあって、練習内容や戦術について聞かれましたね。 放課後の部活で紅白戦をした際は一方のチームの監督を任され、試合後は「投手にクセはあった?」、「選手の動きで気になるところはなかった?」など、色々と尋ねられました。西谷先生は私の意見や考えも参考にし、常にチームを強くするヒントを探している印象を受けました。 教育実習に行ったのは11月だったので、1、2年生の新チームで始動していました。特に目を引いたのは、1年生だった藤原恭大選手です。肩を痛めていてコンディションは万全ではありませんでしたが、全身がバネのようでスピード感がありました。大阪桐蔭の中でも突出していて、確実にプロに行くと思いました。 グラウンドの練習だけではなく、寮でミーティングにも参加しました。教育実習には私のほかに、同級生で大阪桐蔭OBの妻鹿聖も来ていました。ミーティングでは苦しい練習の意味、その先に得られる財産、さらに自分たちが甲子園で春夏連覇した頃の話などを後輩たちに伝えました。西谷先生からは「お前たちが部活に来てから、チームが良くなった」と感謝の言葉をいただきました。教育実習で一緒に過ごした選手たちの動向は気にしていますし、藤原選手の学年は甲子園で春夏連覇を達成したのでうれしかったですね。 ■日本一の厳しさが… 教職課程の履修で練習を回避 亜細亜大学の野球部は教職課程を履修して、教育実習に行く選手が多いです。ただ、実際に教師になるのは数えるほどでした。私の同級生は1人もいませんし、先輩や後輩も1学年で数人だったと思います。 教員免許を取るには修得する単位が増え、授業数も多くなります。勉強が大変になるにもかかわらず、なぜ野球部員が教職課程を取るのか。もちろん、教員を志している選手もいますが、一番の理由は授業や教育実習で練習に行かなくて良いからです。 私の1つ、2つ上の先輩たちは、ほぼ全員というくらい教員免許を取っていました。亜細亜大学の練習は「日本一厳しい」と言われています。その練習時間を少しでも減らすため、教職課程を履修している選手が圧倒的多数でした。 その魂胆を監督やコーチが感じたのか、私の学年は「教員になるつもりがないなら、教員免許を取るな。野球に集中しろ」と釘を刺されました。ただ、私は大学入学前から、生田勉監督に「お前は教員免許を取った方が良い」と進言されていました。同級生の中には教職課程を履修するつもりですと報告して怒られた選手もいましたが、私は何も言われませんでした。 私は今のところ、教員になろうと考えたことはありません。もしかしたら将来、心境が変化するかもしれないという思いはわずかにあったとは言え、亜細亜大学の野球部ではなかったら教職課程を履修していないと思います。勉強は好きではありませんが、あの練習をするよりは耐えられるという気持ちが勝って教員免許を取りました。
- 巨人・泉口友汰選手は“教え子” 大阪桐蔭で見せた非凡さ
■藤浪投手や中田選手 今季のプロ野球は大阪桐蔭OBが話題 プロ野球はソフトバンクの日本一で幕を下ろしました。プロ野球がシーズンオフに入ると、秋の終わりを感じます。 今シーズンのプロ野球は、大阪桐蔭出身の選手が話題になりました。まずは、藤浪晋太郎投手の日本球界復帰です。高校の同級生でチームメートだった藤浪投手の動向は、常に気になります。メジャーでは思うような結果を残せていませんが、投球を見る限りは力が衰えたようには思えません。まだ、31歳。もう一度、華やかな舞台で活躍すると信じています。 中田翔選手の現役引退も大きなニュースでした。中田選手は私の5歳年上です。大阪桐蔭の知名度を一気に上げた存在で、私も甲子園で活躍する姿をテレビで見ていました。私たちが甲子園出場を決めた際に差し入れをしていただき、電話でお礼を伝えましたこともあります。中田選手を含めてOBの方々には、甲子園に出る度に記念Tシャツをつくってもらったり、飲み物や食べ物を差し入れしてもらったりしました。 もう1人、注目された選手は巨人・泉口友汰内野手です。大阪桐蔭卒業後に青山学院、NTT西日本を経て、2023年のドラフト4位で巨人に入団。プロ2年目の今シーズンは133試合に出場し、リーグ2位の打率.301をマークしました。今では、チームに不可欠な存在となっています。 今季のプロ野球は大阪桐蔭出身選手が話題に ■タイミングの取り方が抜群 泉口選手は教育実習で交流 実は、大学時代に教育実習で大阪桐蔭へ行った際、泉口選手は2年生で在籍していました。私は社会科を担当し、泉口選手のクラスでも授業をしました。グラウンド外の泉口選手は、おとなしいタイプでした。和歌山県出身ですが、関西っぽさがなく、自己主張をせずにマイペースな印象を受けました。 私は大阪桐蔭でプレーしていた頃、同級生には藤浪晋太郎投手や澤田圭佑投手、1学年下には森友哉捕手がいたので、将来プロに入る選手のレベルを肌で感じていました。教育実習で泉口選手を見た時、プロに行くとは想像していませんでした。タイミングを取るのが抜群に上手い打者と感じた一方、フィジカルの強さやスピード感に欠ける印象を受けたためです。打撃も守備もクセがなく、動きがきれいでセンスを感じさせる選手だったので、社会人まで長く野球を続けるのかなとイメージしていました。 ところが、泉口選手はプロに進んで巨人のレギュラーとなり、打率3割をクリアしました。近年は投高打低の傾向が強く、今シーズンは打率3割を超えたのは両リーグ合わせて泉口選手を含めて3人しかいません。短い期間とは言え、教育実習で一緒に過ごした選手が活躍するのはうれしいですね。 泉口選手の姿は、喜びと同時に学びにもなっています。現在、野球塾を運営する立場となり、タイミングを上手く取れる選手は将来“化ける”可能性があることを泉口選手から学びました。打撃指導ではタイミングの取り方を教えるのが一番難しいんです。感覚を掴めないまま、野球を終える選手もいます。 タイミングは個々の感覚による部分もあります。それでも、指導者は上達のきっかけやコツを伝えることができます。大阪桐蔭時代はそこまで目立つ存在ではなかった泉口選手がプロで結果を出す姿を見て、打撃におけるタイミングの取り方の重要性を改めて実感しました。今まで以上に、指導で大切にしています。
- 極限の緊張感 「日本一厳しい」亜細亜大野球部の練習
■東都秋季リーグ終了 亜細亜大学は5位 東都大学野球は今年度の秋季リーグを終了しました。青山学院大学が6季連続優勝を果たし、私の母校・亜細亜大学は6チーム中5位で終えました。亜細亜大学も2011年秋から2014年春にかけて6季連続で優勝した時期もありましたが、2022年春を最後に優勝から遠ざかっています。 私は大学を卒業して8年が経ちました。亜細亜大学の野球部出身と話すと、大学野球の経験者からは「あの亜細亜ですか?大変でしたよね」、「逃げ出さずに4年間続けたんですか?」などと驚かれます。亜細亜大学は「日本一厳しい野球部」と知れ渡っているためです。 大変と言われる理由には、練習量が挙げられます。しかし、それ以上に過酷なのは緊張感やプレッシャーです。ウォーミングアップから全く気を抜けません。例えば、指示を出す人の拳が開いた瞬間にスタートを切ったり、体を回転させてから走り出したりするメニュー「反応ダッシュ」では、1人でも動きを間違えば、全員でやり直しとなります。「ウォーミングアップ=体を温める・ほぐす」という考え方を覆されました。 亜細亜大学時代の水本 ■伝統の「2カ所バッティング」 試合を上回る緊張感 伝統となっている「2カ所バッティング」は、試合以上の緊張感があります。内容自体は打撃投手の投球を2カ所で打つメニューなので、他の大学も取り入れています。ただ、亜細亜大学では、全てのポジションに守備がつき、一塁から三塁まで走者もいます。そして、打撃投手が1球投げるごとに全員が反応します。カバーリングの動きも全力ですし、安打が飛んだ時は中継プレーまで完結させます。 2カ所バッティングで守備をするのはベンチ外の選手、打者と走者はベンチ入りメンバーが務めます。次戦の相手投手を想定し、開始前のミーティングで「アウトコースの変化球には手を出さない」、「フライは打たない」といったルールを決めます。そのルールに反したバッティングをした際は、守備陣から容赦ない怒号が飛んできます。監督が様子を見ているため、打撃内容によって打者は交代を命じられたり、緊張感を欠いた動きがあれば連帯責任で全員が罰走したりすることもあります。 守備は各ポジションに3人前後の選手がいます。順番で守備につきますが、出番ではない選手もずっと中腰で待機します。中腰以外の姿勢は許されません。腰が浮いている選手を監督が見つけると、全員で罰走となりました。試合前のシートノックで亜細亜大学の選手たちが中腰で両手を前に出し、大きな声を出している場面を見たことがある人もいると思います。中腰は基本姿勢です。 ■走るメニューで精神力強化 髪型は自由でも… 練習メニューに、走る内容が多いところも特徴の1つです。ウォーミングアップで何キロも走りますし、インターバル走もあります。練習メニューや攻守の切り替えなども全力疾走です。夏に北海道・釧路で実施するキャンプでは、宿舎からグラウンドまで片道6キロの距離を行きも帰りもランニングしました。監督も走るため、当然ながら手を抜けません。 走るメニューが多かったのは、精神面を鍛える目的だったと感じています。おそらく、監督は走っても野球が上手くならないと考えていたはずです。きつい練習を継続することで、あと一歩頑張り抜く強さや苦しい状況でも弱気にならない精神力を養いたかったのだと思います。 「日本一厳しい」という他に、亜細亜大学野球部には「五厘刈り」のイメージも強いようです。髪形についても、よく質問されます。野球部に髪型のルールはありませんでした。ただ、髪が長いと「色気づいている」と判断され、何らかの理由をつけられて髪を切ってくるように言われます。五厘刈りの選手は試合の大事な場面でバントを失敗したり、ストライクを見逃したりして反省を示すケースが多いです。監督やコーチから「プレーに覇気がない」と指摘され、髪を剃ってくる選手もいます。 亜細亜大学出身のプロ野球選手の中には、「何億円もらっても、大学時代には戻りたくない」と話す方もいます。私たちの頃よりも厳しい時代があったのかもしれませんし、今は私たちの時代と変わっているかもしれませんが、私は大学の練習以上にプレッシャーがかかる場面は今まで経験したことがありません。
- 「野球経験者=営業向き」とは限らない 適性と活躍の秘訣
■面接の手応えが勘違いのケースも 野球経験者の就職・転職をサポートする事業は3年目に入り、求職者からの問い合わせが増えています。転職者希望者を対象にスタートし、現在は新卒の登録も多くなっています。 野球経験者に希望職種を尋ねると、大半が「営業」と答えます。高校や大学時代の野球部の先輩は営業職の割合が高く、「挨拶と礼儀は野球を通じて学んだので、何となく営業ならできそう」という感覚を持っているのだと思います。私も東邦ガスで野球部に所属していた頃は営業でした。 たしかに、元気の良い挨拶や礼儀正しさは営業職に求められる要素です。ただ、商品やサービスを売る営業には、その他にも求められる適性があります。自分では営業に向いていると感じていても、企業側は真逆の判断をするケースが少なくありません。 弊社では登録している求職者が面接を受けた後、合否の結果だけではなく、フィードバックも受けています。求職者は面接後に手応えを得ていたにもかかわらず、企業側からコミュニケーション能力の不足を指摘されることも多いです。求職者が面接は上手くいったと感じるのは、企業側が話しやすいように合わせてくれているわけです。 ■雑談やメールにも表れる営業職の適性 自己分析と企業の評価が一致しているとは限らないため、まずは面接で生じたギャップを求職者に伝えるところからサポートをスタートします。現実を正確に把握しないと、効果的な対策を講じられません。面接に自信があった求職者が企業側のフィードバックを受け入れられるタイミングを見計らって内容を伝え、現状の課題を整理して一緒に改善していきます。 人材事業は現在、執行役員の小林満平を中心に進めています。私は最初の面談を担当するケースが多いです。あまり堅苦しくない、雑談の延長のような雰囲気で今までのキャリアや就職先の希望などを聞いていきます。この時の会話のやり取りからも、営業職の適性をチェックします。 例えば、「私の質問に対して的確な答えが返ってくる」、「相手の話を遮らない」など、営業に向いているかどうかは雑談でも分かります。営業は「話す仕事」と捉えられがちですが、相手の話に耳を傾けて求められていることを正確に理解し、会話のキャッチボールができるタイプの方が企業から求められます。おしゃべりが好きで、自分の話ばかりする人は営業向きとは言えません。 雑談や面談のほかに、LINEやメールも判断材料になります。私とのやり取りは営業先のお客さまとは異なりますが、「文章の最後に句点を付けているか」、「質問に対して簡潔に回答できているか」、「相手を気遣う一言が添えられているか」など、一通のメールでも些細な違いで受け取る側の印象は大きく変わります。中には、「はい」と一言で返信を終わらせる求職者もいます。 ■企業のフィードバック+弊社の助言 弊社では、特定の企業の入社試験を受けてもらうような強制はしません。求職者に合っていると判断した複数の企業を選択肢として示しますが、どの企業を受けるかは求職者次第です。提案する企業は求職者の適性だけではなく、年収や家族との時間といった仕事の軸など、様々な要素から導き出しています。仕事が合わないという理由で退職した人は、今のところ1人もいません。 仮に求職者が希望する営業職に適性がないと感じても、まずは、営業を募集している企業を受けてもらいます。私たちが最初から否定することはありません。求職者自身が面接の経験から感じることがありますし、求職者が面接で得た感触、企業のフィードバック、弊社の意見やアドバイスと3つ視点があった方が、求職者がより納得する企業に入社できます。営業の中でも既存客を中心としたルート営業の方が向いているとアドバイスしたり、野球で培った分析力や課題解決能力を生かしてマーケティングに携わる仕事を勧めたりする時もあります。 希望の職種に就くために必要な意識や知識を伝えることも大切ですが、むしろ求職者本人が気付いていない適性を発揮する企業や、より活躍できる可能性が高い職種を提案することが私たちの役割だと思っています。学生時代、野球に打ち込んできた人たちは世の中にどんな業種があるのか、自分に合った業務は何なのかを分からないまま就職活動をしている印象です。 私たちが定めるゴールは「就職」ではありません。企業も求職者も幸せを感じる「マッチング」です。外野手から投手に転向したら輝いた選手がいるように、求職者が力を発揮できる企業を一緒に見つけています。入社後も話す機会を設けてアフターフォローを欠かさないのも、「就職が決まったら終わり」と考えていないためです。











