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これからの野球指導者に必要な要素 小、中学生と保護者の変化



■SNSや動画で学べる時代 選手や保護者の熱量アップ

以前のコラムで弊社が展開している野球塾「Amazing名古屋校」についてお伝えしました。今回は指導を通じて私が感じている小、中学生の変化や指導方針を書いていきたいと思います。

 

野球指導を始めて、約2年半が経ちました。おかげさまで、野球塾は土日に新たな枠を設けるほど選手が集まっています。小、中学生と接していて感じるのは「野球を学ぶ熱意」です。新しい理論や技術、取り組んでいる練習の狙いなど、私の説明を熱心に聞いていますし、積極的に質問する選手も多いです。

 

私は小学2年生で野球を始めて社会人まで続けましたが、どちらかと言うと選手時代は感覚でプレーしていました。指導する立場になって、体の使い方や練習メニューを掘り下げて考えるようになり、「選手の頃に知っていたら、結果が違っていたかもしれない」と思う時が少なくありません。野球の見方や考え方は引退してから明らかに変わりましたね。

 

野球塾で驚かされるのは選手たちの熱量だけではありません。保護者の方々が、子どもと一緒にSNSや動画でものすごく野球を勉強していると感心しています。レッスンが終わると、「さっきの練習はどんな意図があるのですか?どのような動きをポイントにしてチェックすれば良いですか?」などと質問を受けます。野球経験がないので勉強しようとしている保護者が増えている印象です。経験がないからこそ、指導者に感覚ではなく言語化を求めているのだと思います。

 

■練習に求められる根拠 選手に合わせた指導

 私は幸運にも、めぐり合った指導者が練習や戦術について根拠や意図を示してくれるタイプでした。これからの指導者は今まで以上に、選手や保護者の質問に根拠を持って答える知識が求められると感じています。

 

私たちの説明に納得すると野球塾の選手たちはしんどいメニューでも積極的に取り組みますし、保護者も指導者への信頼が高まります。そこが欠けてしまうと、野球塾もチームも選手が集まらなくなってしまいます。

 

私の指導は選手時代の経験よりも、野球塾で選手たちと過ごすことで得られる経験がベースになっています。選手を観察していると改善点が見えてきます。そして、どのように修正するとパフォーマンスが向上するのか説明した上で、その動きが身に付くドリルを勧めます。まだ知識や経験が少ない小学生は特に、言葉だけでは完全に理解できないケースがあります。その時、動きが「自然と」身に付くドリルが効果的です。

 

成長期の小、中学生は体格に差があり、野球経験も違いがあります。同じ動きを教えても、最初からある程度できる選手と上手くできない選手がいます。ドリルは、それぞれの選手に合った内容を組みます。例えば、バッティングで重要な動きの1つに「捻転」を教える場合、私たちの野球塾では捻転のメニューだけでも10種類以上あります。どのメニューが選手にとってベストなのか、1つずつ試して観察しています。

 

■情報あふれる時代 高まる指導者の役割

そして、バッティングに関しては、まずバットをたくさん振るように伝えています。その理由は、スイング数の多い選手は体の動きを再現する能力が高く、新しい動きの吸収も早いからです。小学生の段階では正しい軌道でスイングできているかよりも、スイング量が大事だと私は考えています。バットを振る感覚や振る力が養われると、スイングを修正する際に必要な基礎が固まるイメージです。その基礎を覚えた選手が打球をより遠くに飛ばし、より確実にバットの芯で捉えるスイングを身に付ける指導をするのが私たちの仕事です。

 

私もInstagramやYouTubeで野球の技術や練習法を発信していますが、今の時代は情報や動画があふれています。誰でも自由に発信できることから「間違った内容が多い」、「情報の取捨選択が困難」といったネガティブな意見もあります。確かに選手たちに見てもらいたくない内容があるのは事実です。ただ、私は見聞きする情報が多いこと自体はポジティブに捉えています。

 

野球経験のない保護者は、動画を見ても本質まで理解できないかもしれません。その疑問や不安を解消するのが指導者の役割だと考えています。動画通りに練習しても上達しない時は、理論や練習法が間違っているわけではなく、その選手に合っていないことが原因の可能性もあります。そこを見極める目と選手に適した練習法を提案する引き出しが指導者になければ、選手に野球が上手くなる楽しさを伝えられません。現状に満足せず、指導力を高めていきたいと思っています。


■12月28日に開催「GO!能登 応援プロジェクト」

皆さんに1つお知らせです。12月28日に、私が生まれ育った石川県で「GO!能登 応援プロジェクト」と題した野球イベントを開催します。能登半島地震からの復興を目指す石川県を元気づけようと、地元出身のプロ野球選手も参加します。今回は約80人の定員がすでに埋まりましたが、今後もイベントを実施していく考えです。

 

私は野球を通じて人として大切なことを学び、仲間にも恵まれました。ユニホームを脱いでからも、ビジネスで野球と深く関わっています。お世話になっている野球界に恩返ししていくつもりです。全国各地で開催しているイベントも、その1つです。

 

「GO!能登 応援プロジェクト」は地元の関係者にご協力いただき、企業の方々に協賛していただきました。野球振興や野球を通じた地域貢献など、同じ思いを持った方々との輪を広げていきたいと思っています。

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